こんにちは、やまおです。
「売上は順調なんだけど、なぜか手元のお金が増えない気がする」
経営者の方からよく聞く言葉です。実はこれ、放置しておくと会社の存続を脅かす深刻なサインである場合があります。
今日は「黒字なのにキャッシュがない」という状態がなぜ起きるのか、FP&Aを30年やってきた私が現場で見てきたパターンを元に解説します。
「勘定合って銭足らず」とは何か
会計の世界に「勘定合って銭足らず」という言葉があります。
損益計算書(P/L)では利益が出ているのに、実際の手元現金(キャッシュ)が足りない状態のことです。
なぜこんなことが起きるのか。それは**「利益」と「現金」は別物だから**です。
売上は「商品を売った時点」で計上されますが、お金が実際に入ってくるのは後日です。一方、仕入れや経費の支払いは先に出ていく場合もある。このズレが積み重なると、帳簿上は黒字なのにお金が回らない状態になります。

よくある原因3パターン
パターン①:売掛金の回収が遅い
売上を上げるために取引を増やしたが、回収サイトが長い取引先が増えてしまったケース。
たとえば月商3,000万円の会社が、回収サイト90日の大口取引先に依存していると、常に9,000万円分の売掛金が宙に浮いた状態になります。売上の数字は立っているのに、現金は来ていない。
確認方法: 試算表のB/Sで売掛金残高を月商で割ってみてください。2ヶ月を超えてきたら要注意です。

パターン②:在庫・仕掛品が膨らんでいる
「売れそうだから」と仕入れや製造を増やしすぎて、在庫としてお金が眠っている状態です。
在庫はB/Sの「棚卸資産」に計上されます。これが膨らんでいるときは、仕入れにお金を使いすぎているサインです。
売れ残りリスクもありますが、それ以前に「現金が在庫という形で固まってしまって動かせない」という問題が先に来ます。
確認方法: 棚卸資産の残高が前月・前年同月と比べて増えていないか確認してください。

パターン③:借入返済と設備投資が重なっている
利益は出ているが、毎月の借入返済額が大きかったり、設備投資をしたりして現金が出ていくケースです。
借入の返済は「費用」ではないため、P/Lの利益には影響しません。でも現金は確実に出ていきます。設備投資も同様で、購入した瞬間に現金が出ていきますが、費用として計上されるのは減価償却で毎年少しずつです。
この「P/Lに出ないキャッシュアウト」を把握していないと、気づいたときには手元現金がゼロに近い、ということが起きます。
対策:「キャッシュフロー計算書」の感覚を持つ
上場企業は「キャッシュフロー計算書(CF計算書)」という書類を作ることが義務付けられています。これはP/Bでは見えない「現金の動き」を可視化するものです。
中小企業には義務はありませんが、簡易版の「資金繰り表」を作るだけで状況が劇的に変わります。
最低限、こういう形で毎月確認してみてください。
【簡易資金繰り確認】
月初の現金残高 :○○万円
+ 今月の売上入金(予定) :○○万円
- 今月の支払い(仕入・経費):○○万円
- 借入返済額 :○○万円
= 月末の現金残高(予測) :○○万円
これを3ヶ月先まで作ると、「○月が危ない」というのが事前に見えてきます。

早期発見が全て
黒字倒産の怖いところは、「まだ大丈夫」と思っているうちに手遅れになることです。
銀行への融資相談も、「お金がなくなってから」では遅い。余裕があるうちに動くのが鉄則です。
試算表を毎月きちんと読んで、現預金と売掛金の動きを追う習慣をつけるだけで、かなりのリスクを早期に発見できます。
それでは、また。やまおでした⚾
